ビール発祥の地でもある横浜。
1870年(明治3年)、横浜・山手にウィリアム コープランドが開いたスプリングバレー・ブルワリーが日本で最初のビール醸造所だと言われています。ビール醸造所があった場所はジャパン・ブルワリーを経て、ここから銘柄「キリンビール」が生まれました。
そして麒麟麦酒株式会社が引き継ぎ現在に至っています。
という事で、現在は鶴見区生麦にあるキリンビール工場へ見学に行ってきました。
正面入り口の横には「パブ ブルワリー スプリングバレー」
出来立ての生ビールが提供されるレストラン。以前飲みに来たことがありますが工場見学は初めてです。
ここまではビール飲んでいる人なら誰でもわかっていると思いますが、
ビール完成までの製造工程はほとんど理解していなかったので今日は学ぶ気満々。
まずは麦芽の主原料となる大麦。もちろん本物です。
大麦にたっぷりと水分を吸わさせて発芽させます。そして乾燥させ発芽を止める。
最後に根を取り除き、糖分を含んだ「麦芽」が完成。これがビールの主原料となります。
さっそく完成した「麦芽」を食べさせて頂きました。
甘いポップコーンのような味で、苦みは一切なく意外とおいしいなと感じました。
麦芽を砕いて、お湯と混ぜて「もろみ」と呼ばれる麦のおかゆを作ります。そして「もろみ」をろ過して「麦汁(ばくじゅう)」を絞り出していきます。
こちらはその「麦汁」を絞り出す巨大タンクです。
最初にろ過して絞り出た麦汁「一番絞り麦汁」、二回目に絞りだしたものを「二番絞り麦汁」と呼びます。
一般的なビールは「一番絞り麦汁」とやや苦みのある「二番絞り麦汁」を合わせて作りますが、「一番絞り麦汁」のみを使った国内唯一のビールが「キリン一番絞り」だそうです。
工場見学ツアーでは、この「一番絞り麦汁」と「二番絞り麦汁」を飲み比べできます。
味はあきらかに「一番絞り麦汁」の方がおいしい。というか甘い麦ジュースのようでした。
そしていよいよホップの登場。
こちらも本物を手に取り匂いを嗅ぐ事ができます。
麦汁にホップを加え煮沸、ビール独特の香りと苦みを出していきます。
こちらがその煮沸釜。
キリン一番搾りは使用している麦の量が通常のビールの1.5倍とか。だからうまみたっぷり。
煮沸を終えた黄金色の麦汁にビール酵母を加えて発酵タンクで低温発酵させていきます。酵母の働きによって、麦汁中の糖分のほとんどがアルコールと炭酸ガスに分解されていきます。
こうしてできあがったビールは「若ビール」と呼ばれています。まだビール本来の味、香りは十分ではありません。
1~2ヶ月ほど熟成させると、あのビールの味と香りが出ておいしくなっていきます。
キリンビール工場内の貯蔵タンクです。高さは約20メートル。
タンク1本の容量は約50万リットル。大量すぎてよくわかりませんが、
例えると「350ml缶を1日1本飲み続けて約4000年かかる」と言う大変うらやましい量です。(350ml缶148万本分!)
横浜工場ではこのタンクが131本並んでいます!ものすごい生産量ですね。
熟成させたビールは、最後に酵母等を取り除き完成、パッケージングして出荷となります。
楽しみにしていた、ベルトコンベアでのパッケージング工程の見学は残念ながらありませんでした。
それでも50分という短い時間のなかで、映像の説明やタンク見学、麦汁の試飲など一通り体験する事ができました。
ビール缶のリサイクルの取り組みや、資源削減の為の缶デザインなど、
普段ビール飲む時には余り気にしていないのに多くの企業努力と技術が詰まっているんだと実感できました。
神奈川県内、都内近郊に卸している「キリン一番搾り」はすべてここで製造・出荷されているそうです。
で、最後のお楽しみがこちら。
出来立ての生ビールが試飲できます。
しかも3杯も!もちろん無料です。
今日は「一番搾り」と黒ビールの「スタウト」が試飲できます。
早速、スタッフが生ビールを注いでくれます。
(撮影は許可済みです)
できたての一番搾り生。300mlくらいのビールグラスに注いでくれます。
もちろんうまい!なんか麦の味がすごく甘く、いつもより味が濃く感じました。
続いてスタウト。スタウトとは「色が濃く、香味の特に強いビール」という意味。
キリンビールの歴代ラベルデザインも見応えありました。
最後に、ツアーガイドさんからは
自宅の缶ビールをおいしく飲める注ぎ方「3度注ぎ」を伝授して頂きました。見事。
ビールの歴史と製造工程に触れ、最後に出来立て生ビールを3杯も飲めて
全部無料というすばらしい工場見学でした(笑)
勉強になりましたし、今後も飲み続けるであろうビールとより深い関係になりそうです。
今日は「キリン一番搾り」の製造見学でしたが、
他のブランド「キリンラガービール」や「キリンクラシックラガー」は二番絞りを混ぜて苦みを出して作られているそうです。
あと使用されている「水」についても聞いてみましたが、
すべて神奈川の丹沢水系を使い、工場内でさらに水を磨き上げているとの事でした。
で、最も気になるのは「京急生麦駅」との関係性。
「生麦」って名前はもろビールの原料じゃないですか。キリンビール工場の為にできた駅なのかどうなのか。。
こちらも最後に聞いてみました。
創業当初の山手工場が関東大震災で倒壊してしまい、新たな工場建設地を探していたところ、たまたま空いていたのがここ「生麦」だったそうです。古くから生麦駅という名前だったので、駅名と工場は直接関係ないです。との事でした。
この駅名の場所にビール工場を建設できたとは偶然でもすごいですよ。
横浜とビールの歴史、製造工程に触れた工場見学ツアー。
真夏の休日にはオススメです。
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